医療コラム・レポート

医療レポートNo.12 「忍び寄る」前立腺がん

ここ10年で男性がんの罹患数1位まで一気に拡大した前立腺がん。その原因と対策について、茅ヶ崎徳洲会病院の日本泌尿器科学会専門医の立川隆光院長に聞いた。

立川 隆光

立川 隆光たちかわ たかみつ院長

専門 泌尿器科、透析

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所属学会

日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本透析医学会専門医、ロボット手術プロクター(指導医)

ご挨拶

地域に密着した診療を心がけています。
前立腺等の泌尿器科疾患、腫瘍、結石、腎不全や透析等幅広い診療、手術等をおこなっています。

中高年の男性が注意すべき病として知られ、加齢によりホルモンバランスが変化することが原因の1つ。60歳以上になると罹患率が高くなり、80歳以上は2人に1人が潜在性があるといわれる。

現在、全体の罹患者は20年前の約10倍の10万5千人。死亡者数も来年には約2倍の1万5千人に達するとの予想が出ている。立川院長は「別の原因で亡くなり、後からの調査で前立腺がんの罹患が確認された方も多い」と説明する。

PSA検査で早期発見のカギ

早期発見、治療が大切だが、前立腺がんは初期の自覚症状がほぼない。立川院長は「前立腺がんは忍び寄るがん。排尿時の痛み、尿が出にくいなどの症状は初期より進行してから。悪化すると臀部や骨への転移もある」と懸念する。一方で「ほかのがんと比べ、発生してから10~20年の間は進行が遅く、早期発見が肝となる」と力をこめる。

これまでの触診や超音波検査に代わり、従来よりも発見精度が高いとして主流となっているのが、血液採取によるPSA検査だ。「見えない予兆を探るために、検査がある。気軽に受診してほしい」と笑顔を見せた。

タウンニュース(寒川版、茅ヶ崎版) 2019.8.23号掲載