そけいヘルニアってどんな病気
そけいヘルニアってどんな病気?
ヘルニアって何?
正常の位置にあるものが他の部位に飛び出してしまう状態を言います。
語源はラテン語の飛び出すいう意味になり、腰痛の原因になる椎間板ヘルニア、でべその臍ヘルニアなどがあります。
そけいヘルニアはそけい部のヘルニアということになります。
どうしてヘルニアになるの?
- 成人の場合は加齢により身体の組織が弱くなることが原因
- そけいヘルニア患者の80%以上が男性
- 腹圧のかかる業務や立ち仕事に従事する人に多く、便秘症の人、肥満の人、前立腺肥大の人、咳をよくする人は要注意!
どんな症状ですか?
- 立ち上がったりお腹に力を入れるとそけい部がふくらみます。
- このふくらみは、横になったり手で押さえると引っ込んでしまうことが特徴です。
- 強い痛みなどの症状はありません。
嵌頓(かんとん)の危険性
- とび出した腸(臓器)が戻らないままになってしまうと、激しい痛みや、嘔吐などの症状がでます。
- すぐにはさまった臓器を戻さなければ、腸が壊死に陥ることもあります。
- 緊急手術が必要となります。
どうやって治療しますか?
ヘルニアは薬で治りますか?
治りません。
体を鍛えれば治りますか?
一度飛び出てきたヘルニアは筋肉を鍛えても元には戻りません。
ヘルニアバンド(脱腸帯)で治りますか?
脱出を抑えておくことはできますが、治すことはできません。
現在、治療法は手術以外ありません。
どんな手術ですか?
様々な手術の方法が考案され、現在でも進歩しています。
手術の方法は、施設やヘルニアに対する考え方、もちろん患者様の状態やヘルニアの状態によっても変わってきます。以前から行われていた従来法は、もともと弱く離れた組織を無理に縫い合わせて隙間を閉じるため、縫合部位に緊張がかかり、その結果術後の疼痛が強く、弱い組織が離断して再発が多くみられました。
しかし、最近は人工補強材(メッシュ)を使用した、術後の疼痛が少なく(テンションフリーの修復(tension-free-repair))、再発も少ない手術が行われています。
このメッシュを用いた手術にも様々な方法、メッシュにも様々な形状、素材のものがあります。
メッシュを使用する手術には前方アプローチ法と後方アプローチ法があります。
現在、多くの施設で行われている方法であるメッシュ・プラグ法やプローリンヘルニアシステム(PHS)法は前方アプローチ法に分類されます。
前方アプローチでは鼡径管を開放するため、生来あるヘルニア防止機構を破壊し、また後方アプローチに比べて末梢神経損傷を生じやすいと考えられています。さらに、横筋筋膜の全周切開が不完全だったり、複合ヘルニアの見落としなどにより再発を生じることがあります。このため、当院では後方アプローチである、腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP法)を主に行っています。
腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP法)の利点
- 術後早期の疼痛の軽減
- 慢性疼痛(1年以上)の減少
- 早期の社会復帰