口腔乾燥症(ドライマウス)
唾液の減少が引き起こす「口腔乾燥症」(ドライマウス)とは?
口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)は、唾液の分泌量が減ることや、唾液の成分が変化することなどにより、口の中の粘膜が乾燥し、さまざまな症状が現れる状態です。一般には「ドライマウス」とも呼ばれます。
唾液には、口の中の汚れを洗い流したり(自浄作用)、細菌の増殖を抑えたり(抗菌作用)、粘膜を保護したり、食べ物を飲み込みやすくしたりする大切な役割があります。そのため、唾液が減ると、これらの機能が低下し、虫歯や歯周病のリスクが高まるほか、食事や会話がしにくくなるなど、日常生活に大きな影響を与えます。
主な種類と原因
口腔乾燥症は、原因によって主に以下の種類に分けられます。複数の原因が関わっていることも少なくありません。
1. 薬剤の副作用によるもの
最も一般的な原因の一つです。
- 原因:高血圧の薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬(アレルギー・風邪薬)、鎮痛剤など、約400種類以上の薬剤に唾液の分泌を抑える作用(抗コリン作用など)があると言われています。特に、高齢者では複数の薬を服用していることが多いため、注意が必要です。
2. 全身疾患(病気)によるもの
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原因:
- シェーグレン症候群:自己免疫疾患の一つで、唾液腺や涙腺が攻撃され、唾液や涙の分泌が極端に減少します。女性に多いのが特徴です。
- 糖尿病:高血糖により脱水傾向になりやすく、唾液分泌が低下することがあります。
- 頭頸部への放射線治療:がんの治療などで唾液腺に放射線が当たると、唾液腺が損傷し、永続的な乾燥の原因となることがあります。
- 脱水症、腎機能不全など。
3. 加齢や生活習慣によるもの
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原因:
- 加齢:年齢とともに唾液腺の機能が低下したり、口腔周囲の筋力が衰えたりすることで、唾液の分泌量が減少します。
- 口呼吸:鼻炎や鼻づまり、習慣などで口呼吸になると、口の中の唾液が蒸発して乾燥します。
- ストレス・精神的緊張:自律神経の乱れにより、唾液分泌を抑制する交感神経が優位になることで、唾液の量が減り、ネバネバした唾液になることがあります。
- 喫煙・過度の飲酒。
症状
初期の自覚症状は軽微でも、進行すると様々な問題を引き起こします。
| 分類 | 主な症状 |
|---|---|
| 乾燥感・不快感 | 口の中がカラカラに乾く、ネバネバする、喉がかわく、口臭が気になる |
| 痛み・違和感 | 舌がヒリヒリと痛む(舌痛症)、口内炎や口角炎ができやすくなる、粘膜が赤く腫れる(紅斑)、ひび割れる |
| 機能障害 | 食事の際、水分がないと食べ物が飲み込みにくい(嚥下障害)、話しにくい、味がわかりにくい(味覚障害)、義歯(入れ歯)が合わない・痛みが出る |
| 二次的な疾患 | 虫歯(う蝕)の増加・進行、歯周病の悪化、口腔カンジダ症 |
治療法
口腔乾燥症の治療は、原因療法(原因を取り除く治療)と対症療法(症状を和らげる治療)を組み合わせて行われます。
1. 原因療法
根本的な原因を解決することを目指します。
- 薬剤の見直し:主治医と連携し、可能な範囲で唾液分泌を抑える作用の少ない薬に変更・減量・中止を検討します。
- 基礎疾患の治療:シェーグレン症候群、糖尿病、鼻炎などの病気を治療します。
- 生活習慣の改善:禁煙、過度なアルコール摂取を控える、鼻呼吸を意識するなどの指導を行います。
2. 対症療法
乾燥症状を緩和し、合併症を防ぐための治療です。
唾液分泌促進
- 薬物療法:唾液腺の機能が残っている場合、唾液の分泌を促す薬剤(ピロカルピン塩酸塩、セビメリン塩酸塩など)が適用となることがあります(シェーグレン症候群や頭頸部放射線照射後など、適応症が限定されています)。
- 唾液腺マッサージ・口腔機能訓練:耳下腺、顎下腺、舌下腺などをマッサージしたり、咀嚼運動を指導したりすることで、唾液の分泌を促します。
保湿・粘膜保護
- 保湿剤・人工唾液の使用:保湿ジェル、保湿成分配合の洗口液(うがい薬)、スプレータイプの人工唾液などを使用し、口腔内の乾燥した粘膜を保護します。特に乾燥が強い場合に有効です。
- こまめな水分補給(特に水やノンシュガーのお茶)。
口腔衛生管理(口腔ケア)
- 唾液の自浄作用が低下しているため、徹底したブラッシングやうがいが重要です。フッ素の応用(歯磨剤や歯科医院での塗布)による虫歯予防も必須です。
- 口腔カンジダ症などの二次感染症が生じた場合は、それに対する薬剤(抗真菌薬など)による治療を行います。
口腔乾燥症は、単なる「口の渇き」ではなく、全身の健康にも関わる重要な問題です。気になる症状がある場合は、歯科口腔外科など専門の医療機関にご相談ください。
当院歯科口腔外科の梯医師は、「ドライマウス認定医」になります。
※初診の方は、必ずかかりつけ医からの紹介状とお薬手帳をご持参ください。 かかりつけ医と連携し、診療を行ってまいります。
※予約の方が優先となりますので、予約がない場合はお待たせいたしますことをご了承ください。来院前にお電話をいただけますと幸いです。
※急患の方はお電話をお願いいたします。緊急性があると判断した場合は、初診受付時間外でも対応いたします。






