医療コラム・レポート

医療レポートNo.10 日本人の3人に1人が痔主

加納 恒久

加納 恒久かのう つねひさ消化器外科部長

専門 消化器外科

所属学会

日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医、日本消化器病学会専門医、マンモグラフィ読影医、痔核四段階注射法施行医

その他の所属

日本腹部救急学会

ご挨拶

大腸癌、胃癌をはじめとする癌の手術・抗がん剤治療や、ヘルニア・虫垂炎・胆石胆嚢炎・肛門疾患といった良性疾患の治療まで幅広く消化器外科を担当します。
他院で診断治療されたかたのご相談も承ります。わかりやすく丁寧な診療を心がけていますので、お気軽にご相談ください。

日本大腸肛門病学会によると日本人の3人に1人が該当すると言われる痔。茅ヶ崎徳洲会病院消化器外科の加納恒久部長に症状や原因などについて話を聞いた。

主な要因は「肛門のうっ血、循環障害、圧迫」。具体的には、便秘・下痢などによる肛門の刺激、肉体疲労やストレス、長時間の座りっぱなし、冷え、飲酒や香辛料の多用も影響すると言われている。「ウォシュレット『強』の長時間使用なども気を付けて」(加納部長)。

主な痔の種類は「いぼ痔(痔核)」「きれ痔(裂肛)」「痔ろう」。痛み・繰り返す出血などの症状が受診理由となることが多く、加納部長は「症状が被る大腸がんを心配する方も多い」と説明する。

気付かない内に脱肛

一方、自覚症状が無いが罹患が多いとされるのが「内痔核」だ。痔核が痛みを感じない粘膜部にできるため、経過が進み痔核が肥大化すると、肛門から患部が飛び出てしまい、指で押しても戻らない脱肛状態になってしまう。「排便後もすっきりしない、便が出にくい・細いなどの便通異常がよくある症状。『押し込んだら元に戻る』という症状も、既に“出てしまっている”状態なので、痔にあたる」と説明する。

よくある病気だからこそ、気軽に相談できる専門医の存在は大きい。「すぐ切るわけではありません!じっくりお話して、それぞれの方にあった治療方法を一緒に選びます。はずかしがらず、怖がらず」

タウンニュース(寒川版、茅ヶ崎版) 2019.3.8号掲載